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2008/10/09 (Thu)
携帯よりこんにちは(苦笑)第二弾。
郁視点のお話。
堂上に気がついて欲しいのに気がついて欲しくない…。
眠気に勝てずにぶったぎってごめんなさい…。
「やーっと終わった!」
頼まれていた最後の書類を届け終わり、郁はやっと業務部から解放された。
これが終わったら業務部に寄らずに通常業務に戻ってもいいと柴崎から解放の言葉を頂いたので、柴崎に携帯でメールを送り、有り難くその言葉に甘えさせて貰う。
もうへとへと…。さすがに疲れたなあ。
重たい書類を持ち歩いていたために凝ってしまった両肩をぐるぐると回しながら、事務所に戻るべく廊下を歩いていた。幸い、誰とも擦れ違わなかったので遠慮なく両腕を回す事が出来た。
頼まれていた最後の書類を届け終わり、郁はやっと業務部から解放された。
これが終わったら業務部に寄らずに通常業務に戻ってもいいと柴崎から解放の言葉を頂いたので、柴崎に携帯でメールを送り、有り難くその言葉に甘えさせて貰う。
もうへとへと…。さすがに疲れたなあ。
重たい書類を持ち歩いていたために凝ってしまった両肩をぐるぐると回しながら、事務所に戻るべく廊下を歩いていた。幸い、誰とも擦れ違わなかったので遠慮なく両腕を回す事が出来た。
「ったく柴崎ったら。人使いが荒いんだから!」
人手が欲しいとの業務部からの依頼に、なぜか郁が指名された。
自慢にもならないが、郁では猫の手ほどの助けにもならないのではないか。まして、目が回るほど忙しいのなら尚更。
同様の事を手塚も思ったのか、向けた視線の先で同じような顔をしていた。
だが、訪ねた先で謎は解けた。
確かに、使い走りなら、手塚よりも郁の方が適性である。
納得した所で事態が何か変わるわけでもない。遠慮のかけらもない柴崎の指令を受け、郁は一日中、東へ西へと走り回ったのだった。
人手が欲しいとの業務部からの依頼に、なぜか郁が指名された。
自慢にもならないが、郁では猫の手ほどの助けにもならないのではないか。まして、目が回るほど忙しいのなら尚更。
同様の事を手塚も思ったのか、向けた視線の先で同じような顔をしていた。
だが、訪ねた先で謎は解けた。
確かに、使い走りなら、手塚よりも郁の方が適性である。
納得した所で事態が何か変わるわけでもない。遠慮のかけらもない柴崎の指令を受け、郁は一日中、東へ西へと走り回ったのだった。
普段は人の行き交いが絶えないこの場所も、夕方を少し過ぎたこの時間では誰もいなかった。
通い馴れたはずの道なのに、えらく長く感じる。
自分の影が長く長く前方に伸びていた。
そういえば、影踏みをして遊んだのはいつの頃だったかとふと懐かしくなる。
ふっと胸を過ぎる物寂しさ。
外からは、まだ中庭で遊んでいるらしい子供達の笑い声が聞こえてくる。
時計を見れば、終業時刻まであと5分。
少しだけならいいよね。
ノスタルジアな雰囲気に、少し浸ってみたくなったのだ。
昔も、よく部活の合間に抜け出して、校舎の中でこうやってたっけ。
学生時代に戻ったような気分になり、なぜか胸がざわめいた。
窓際に背を預けて目を閉じる。
少しずつ季節が移り変わろうとしているこの時期は、どこもかしこもひんやりとしていて郁の身体からゆっくりと体温を奪ってゆく。
背中から伝わってくる冷たさが、走り回って疲れた身体にはなんだか心地良い。
何を考える訳でもなく、ただ寄り掛かって目を閉じるだけ。
それだけで、頭がすっきりしていくように感じた。
ふと何かの気配を感じて目を開けると、窓の外に視線を転じた。
「堂上教官?」
郁の視線の先には、堂上の姿があった。
こちらには気がついていないようで、真っ直ぐ前を向いて何かに気を取られているようだ。
郁もつられて視線を向け、――真っ赤な夕焼けに目を奪われた。
「すごい…」
燃えるような鮮やかな紅色に、暫し言葉を失った。
次から次へと込み上げてくる、うまく言葉に出来ない焦燥感に胸が苦しくなる。
助けを求めるように堂上に視線を向け。
「教官…」
その横顔があまりにも綺麗だったので、郁は声を掛けるのを止めた。
眼差しが、あまりにも優しかったから。
何を、想っているんだろう。
ずきりと、胸の辺りで嫌な痛みがする。
もやもやとして、苦しいそれ。自分ではコントロール出来なくて怖くなる。
ぎゅっと、襟元を握りしめた。この痛みが、胸の痛みをかき消してしまえばいいのに。
その正体を知りたくなくて、郁は賢明に頭を振った。
「そんな所で、何をしているんだ」
少し呆れたような声に視線を上げれば、堂上が呆れ顔で立っていた。
郁の視線の先には、堂上の姿があった。
こちらには気がついていないようで、真っ直ぐ前を向いて何かに気を取られているようだ。
郁もつられて視線を向け、――真っ赤な夕焼けに目を奪われた。
「すごい…」
燃えるような鮮やかな紅色に、暫し言葉を失った。
次から次へと込み上げてくる、うまく言葉に出来ない焦燥感に胸が苦しくなる。
助けを求めるように堂上に視線を向け。
「教官…」
その横顔があまりにも綺麗だったので、郁は声を掛けるのを止めた。
眼差しが、あまりにも優しかったから。
何を、想っているんだろう。
ずきりと、胸の辺りで嫌な痛みがする。
もやもやとして、苦しいそれ。自分ではコントロール出来なくて怖くなる。
ぎゅっと、襟元を握りしめた。この痛みが、胸の痛みをかき消してしまえばいいのに。
その正体を知りたくなくて、郁は賢明に頭を振った。
「そんな所で、何をしているんだ」
少し呆れたような声に視線を上げれば、堂上が呆れ顔で立っていた。
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